《儚い空想は私の現実》

場面解説と裏設定

私、婿末の処女作。現実と非現実が複雑に絡み合っているため、意味不明な描写が多かった(ストーリー構成が下手なだけ)本作。

作成してから数年経ったので、そろそろ物語の場面解説をしてしまおうと思います。なお、当然ながらネタバレが含まれますので、未プレイの方は是非プレイした後にご覧いただくことをおすすめします。

【このゲームができたきっかけ】

この話は結構余談的な要素が強いのですが、場面解説をするにあたって、結構な肝となる話だったので、先にお伝えしておきます。

 

このゲームが完成する少し前、父が亡くなりました。

死因は不摂生が祟った病気でした。良い親…というわけでもなく、何か大切なことを教えてくれたわけでもありません。家庭内暴力も少なからずありましたし、尊敬できる存在ではありませんでした。しかし今の自分を構成した紛れもない肉親であった父が亡くなり、悲しいような平常心のような、自分の中でなんとも言えない複雑な心境になりました。

今まで自作ゲームなんて作ったことがなかったのですが、ふと、何かゲームを作ってみたくなったのはこの頃からです。

そこで、今まで自身で作成した絵や詩をかき集めてゲームを作成しよう、と考えできたのがこちらのゲーム。物語は一番最後にできた産物であり、基本は今までの自分が反映されているものとなっています。

【プロローグ】

「ある日の明け方…」の下。

これは、後々わかる主人公のトラウマの毎日を表した文章。いつしか心は歪み、トラウマから何日が経ったかもわからず、ただひたすらに頭の中を巡っています。そしていつしか、それまで日々を記憶の奥底にしまい込んでしまった…。主人公は、夢(?)の中で、しまい込んだ記憶の断片を見ていくことになります。

【人外のいる交差点(?)】

この物語の中で何度も同じこの場面が現れる。しまい込まれた過去の記憶から目を背けずに居て欲しいと思う自分自身が、何度も主人公に問いかけるために現れています。

 

しかし、主人公には人外に見えており、自分自身とは気づかない。

なお、ある意味夢の中と同じような状況なので、主人公が人外と話すこの状況に違和感は感じていない。

 

 

※この絵の元々の題名は「高みの傍観」。火の中で踊り狂う人々を、上から好奇の目で覗く歪んだ人々を描いています。

【りんごのある風景】

循環した場合を除くと、たった1回だけしか訪れない場面。自然が多く、平和的に見えるこの景色は、主人公の唯一の逃げ場です。ここに来ると脳内麻薬で笑いが込み上げます。

しかし、無意識の中で悲劇の記憶を呼び覚まそうともしています。

置いてあったリンゴを蹴飛ばすシーンで、赤い液体が流れ出る光景は、自分が人を殺してしまうというイメージから現れてします。(実際には事故なので殺してはいない)

 

※この絵の元々の題名は「あるべき場所」。

【花火大会と男性】

主人公の中で、喜びと悲しみが入り混じった記憶の断片。夏の花火大会の風景。この男性はその時一緒にいた親友なのだが、主人公は記憶をしまい込んでいるため、物語終盤になるまで気づかない。

 

 

※この絵の元々の題名は「花火大会の思い出」。実際に花火大会へと行った時の思い出を描いた先品です。

【雪景色と少女】

下記の【彼女】の話にも繋がることですが、この少女は紛れもなく主人公の彼女です。少女が濡れているのは、花火大会の日の事故で溺死したからです。この時点では主人公は記憶をしまい込んでいるので、彼女が誰かははっきりしていません。それどころか、この少女から渡される楽譜に音符が無かったことも、主人公が記憶をしまい込み忘れようとしている現れです。

そして、一番気になる部分だと思います。事故が起きたのは夏にも関わらず、なぜ雪景色なのか…?

これは私の独断と偏見によるものですが、冬は終わりの季節であり、物事の終わり、死を連想したからです。

【彼女】

主人公の彼女。花火大会の日に起きた川の氾濫事故により溺死した。

主人公が儚い空想(夢)に身を置いた最大の原因であり、主人公は記憶の断片を見て、その責任を感じる度に精神がおかしくなっていきます。

白い風景はススキの生えた道のイメージであり、雪に見えるのはススキの穂が飛んでいるものであって、雪景色というわけではありませんが、主人公としてはすでに死と直結してしまっている記憶なので、上記のような白い雪景色が模倣されてしまっています。

【禍々しい風景】

主人公が、悲観や絶望の記憶を見た時、もしくはそれを感じた時に現れる背景。これは主人公がしまい込んだ忌まわしき記憶そのものです。

 

 

 

 

  • 真ん中の歪な魚と左下の端が、事故の起きた川のイメージ。
  • 左上の端、右上の端が助けを求める手のイメージ。
  • 右下が病室のイメージ。
  • 下側の目が、相手からの恨みの視線のイメージ。

 

※因みに、この絵の元々の題名は「声をそろえて」。ゲーム上のイメージとはあまり関係ありません。上記のイメージはゲームのために後付けされたものです。

【黒い画面の断片的な詩】

冒頭から章の切れ目に度々挟まる場面。

意味深なこの詩は、人の死の瞬間とその後を暗示した詩です。

ですが実際は本筋とはあまり関わりのない詩です。

実はこの黒い画面のうちのどこからかTrue end(作者的に言えば現実end)への道があるのですが、これは上記でも記した父の死が関わっています。